現場で使えるポイントを解説プロジェクト原価管理ガイド

プロジェクト予算管理とは?
広告業に必要な基礎知識と
成功のポイントを解説

プロジェクトを進めていく中で、作品やサービスのクオリティに強くこだわることは大切ですが、こだわりすぎると原価や工数、納期が膨らみやすくなります。

結果として「良いものはできたが、利益が出なかった」「品質は高いが納期が守れずクライアントに迷惑をかけてしまった」といった事態に陥ることも少なくありません。特に広告・クリエイティブ業界では、制作過程での変更や追加作業が多く発生することから、予算やリソースの管理が非常に重要です。

プロジェクト予算管理は、こうしたリスクを最小限に抑えつつ、一定の品質と納期を両立させるための重要なマネジメント手法です。あらかじめ適切な予算配分を行い、進行中も実績を可視化しながら柔軟に調整していくことで、収益性を保ちつつプロジェクトを成功に導くことができます。

本コラムでは、プロジェクト予算管理の基本的な考え方や、実務で役立つ具体的な進め方、予算超過を防ぐための工夫など、成功のためのポイントをわかりやすくご紹介いたします。今後の業務改善のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

目次
1.プロジェクト予算管理とは?
2.プロジェクト予算管理の流れ
3.プロジェクト予算管理の必要性
4.予算管理によくある3つの課題
5.予算管理を成功させるコツ
6.まとめ

1.プロジェクト予算管理とは?

プロジェクト予算管理とは?

プロジェクトの売上やコストの予算をあらかじめ設定し、進行中の実績と予算との乖離を把握・調整していくことを「プロジェクト予算管理」といいます。

これは、プロジェクト単位で収支を見える化し、利益を確保するために欠かせない管理手法です。売上の予算を達成しつつ、コストを設定した範囲内に収めることで、プロジェクトは初めて利益を生み出します。しかし、実際の現場では予算の設定が曖昧であったり、実績の把握が後手に回ったりして、気づいた時には赤字になっているというケースも多くあります。

特に広告業界では、外注費や人件費がかさみやすく、かつ案件ごとに求められる対応が多岐にわたるため、予算超過が発生しやすい傾向にあります。

そのため、予算の段階からしっかりと収支を意識した設計を行い、実績をこまめに確認・修正していく体制づくりが重要です。

2.プロジェクト予算管理の流れ

プロジェクト予算管理の流れ

プロジェクト予算管理を効果的に行うには、一定の流れに沿って計画・実行・振り返りを行うことが重要です。まずは、プロジェクト開始前に売上やコストの目標を設定し、実行予算として数値化します。

この段階で、関係者と共有し、予算の根拠や配分が妥当であるかを確認しておくことがポイントです。

次に、プロジェクトの進行中は、実績との乖離を定期的にモニタリングします。たとえば週次や月次で原価や工数、外注費などを確認し、予算内に収まっているかをチェック。もしもオーバーの兆しがあれば、早期に対応策を講じることで損失の拡大を防げます。

プロジェクト終了後は、実績データと予算の差異を分析し、どの工程でコストが増加したのか、なぜ利益が想定より下回ったのかといった原因を明確にします。この振り返りが、次のプロジェクトでより精度の高い予算計画を立てるための材料となります。

このように、計画・実行・検証のサイクルを継続することで、予算管理の精度と収益性を高めていくことが可能になります。

3.プロジェクト予算管理の必要性

プロジェクト予算管理の必要性

プロジェクト予算管理はコストやリスク管理、利益創出のために必要です。その具体的な理由を見てきましょう。

● コストコントロール
プロジェクトのコストを管理し、あらかじめ設定した予算を超えないよう管理ができます。設定した予算を超えてしまうと赤字案件のリスクが高まります。予算と実績を比較し、コストコントロールを行う手段として活用できます。

● 利益確保
あらかじめ設定した売上予算の達成とコストコントロールができれば、利益を確保できます。プロジェクトごとに利益を最大化することで、全体的な利益創出につながります。

● プロジェクトの評価
プロジェクトの利益創出はプロジェクトの評価を行う1つの側面です。特に自社に制作部がある企業様では制作部の労務費もプロジェクトの収益管理に含めます。この労務費を含め、コストの予算内に収められているのかは個々の評価にも繋がります。適正な評価を行う際にも役立つ管理です。

● 必要なリソースの確保
プロジェクト予算を設定すると、そのプロジェクトに関わる人や時間等のリソースを適切に配分することができます。リソースを適正に配分ができれば余計な無駄を減らすことができるでしょう。

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4.予算管理によくある3つの課題

予算管理によくある3つの課題

①工数管理を適正に行えない
「誰が・どのプロジェクトに・どのくらいの時間、携わったか」を管理するのが工数管理です。工数管理を行うことで正確な収支管理を行うことができますが、この工数管理を行う手間が1つ目の課題です。プロジェクトが忙しい、正確な時間を把握できていない等の理由によって煩雑な管理になりえます。その上、集計作業も発生し管理が煩雑になってしまうのです。

②データが曖昧
予算管理には正確なデータが必要です。しかし、設定している予算に根拠がなかったり、実績数値に誤りがあったりすれば適正な予算管理を行うことはできません。データが正しく管理されているのかを把握できるツールでの管理が必要です。

③柔軟性の欠如
プロジェクト進行中に予期せぬ変更が発生する可能性もあります。例えばアサインされたスタッフの変更や、プロジェクトに関わる変更があるかもしれません。その変更によって予算にも影響が出る場合に対処ができないという課題があります。予算の修正や変更内容の記載等、管理できることが必要です。

5.予算管理を成功させるコツ

予算管理を成功させるコツ

前章で挙げた課題に対処するためには、適正なプロジェクト予算管理プロセスを設立し、変更に対し柔軟に対応できるツールを使用することです。

● 適切な計画と予算設定
プロジェクト開始前に十分な計画と予算設定をしましょう。これまでの実績を考慮しリソースの確保や予算設定を行います。

● 定期的なモニタリング
プロジェクトリーダーは定期的なモニタリングを実施し、プロジェクトが順調に進んでいるのか、コストオーバーしていないか定期的に管理をしましょう。
定期的な管理によって、コストオーバーの予兆を察知し、対策を講じることができます。

● ツールの活用
プロジェクト予算管理を行う際は、ツールを活用することが望ましいです。理由は、実績データを蓄積できる点とデータが正確な点です。
予算設定を行う際に前年の実績やこれまでの傾向を基に設定します。大量なデータの蓄積や集計、分析を行うにはシステム等の専用のツールを活用すると簡単に行えます。
また、予算管理に必要な正確なデータを管理できる点でもツールの活用はメリットです。Excelでは誤りがあった際に気づくことが遅れたり原因究明ができなかったりします。
ツールの活用では、修正履歴を追うこともできるので原因究明に役立ちます。

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6.まとめ

プロジェクト予算管理は赤字案件が発生するリスクを抱える広告に携わる企業様には必要な管理です。制作部が社内にある場合は工数管理も同時に行うことで正確な収支管理に繋がります。

弊社が提供しているADMANはプロジェクト予算管理が可能な実行予算機能を搭載し、赤字案件への対策が行えます。工数管理も併せて管理ができますので、プロジェクト予算管理に興味がある、赤字案件への対策をしたいとお考えでしたら、お気兼ねなくお問い合わせください。
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