【超初心者向け】月次決算とは?やり方やチェックリストをご紹介
月次決算は、企業の財務状況を毎月集計・報告することで、スピーディーに経営判断に役立てることや、年末の決算業務の負担を軽減することができます。
本コラムでは、月次決算を初めて担当する方へ向けて、月次決算の基本や具体的なやり方を解説するとともに、実際に役立つチェックリストのご紹介や効率化する方法までを詳しく解説します。
- 目次
- 1.月次決算とは
- 2.月次決算のやり方をステップで解説
- 3.月次決算のチェックリストをご紹介
- 4.月次決算を効率化する方法
- 5.まとめ
月次決算とは

はじめに、月次決算とは何かについて解説します。
●月次決算とは
月次決算とは、企業が毎月の財務状況を把握するために行う会計処理のことを指します。これは、年度ごとに行われる年次決算とは異なり、より頻繁に行われるため、企業の経営状況を迅速に把握することが可能です。月次決算を行うことで、企業は毎月の売上や費用、利益を正確に把握し、経営戦略の見直しや改善を迅速に行うことができます。
●月次決算と年次決算の違い
年次決算は、1年間の企業活動を総括し、株主や投資家、税務当局に報告するためのもので、通常は厳密な監査が行われます。また、会社法や法人税法、金融商品取引法に従って必要な書類を作成し、期限までに提出しなければならない法律に基づいた義務です。一方、月次決算は、内部管理を主な目的としており、外部への報告義務はありません。そのため、月次決算は迅速かつ柔軟に行うことができ、経営陣にとって重要な意思決定の材料となります。
●月次決算を行う主な目的
1. 月ごとに応じた最適な経営判断が可能になる
主な目的の一つは、月ごとに応じた最適な経営判断を可能にすることです。経営者は、毎月の業績を基に、売上の増減やコストの変動を把握し、必要に応じて戦略を修正することができます。これにより、問題が発生した際にも迅速に対応することが可能です。
2. 年末の決算業務の負担軽減
また、月次決算を行うことで、年末の決算業務の負担を軽減することができます。年次決算は、多くの企業にとって非常に手間のかかる作業ですが、月次決算を定期的に行うことで、年末にまとめて処理する必要がある業務を分散させることができます。
3. 長期停滞している未払金や未収金なども見つけやすい
月次決算は、長期停滞している未払金や未収金などを見つけやすくする利点もあります。毎月の決算を通じて、未処理の取引を早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。これにより、企業のキャッシュフローを健全に保ち、財務リスクを軽減することができます。
4. 決算の早期化に役立つ
月次決算は決算の早期化にも役立ちます。定期的に財務状況を確認することで、決算期末に向けた準備を整えやすくなり、決算業務の迅速化につながります。これにより、企業はより早く財務情報を入手し、経営戦略の策定や修正に役立てることができるのです。
月次決算のやり方をステップで解説

続いて、月次決算のやり方をステップで解説していきます。
1. 現金預金残高の確認
まず、帳簿上の現金預金残高と銀行口座の残高を照らし合わせ、差異がないかを確認します。このプロセスは、現金の流れを正確に把握するための基礎となります。万が一、差異が発見された場合は、その原因を特定し、速やかに修正を行うことが重要です。
2. 月次棚卸し
次に、在庫品の数量や棚卸資産が帳簿と相違がないかを確認します。決算期に全てを確認するのではなく、月次でこまめにチェックを行うことで、工数を削減し、正確性を保つことができます。特に、在庫の管理は企業の資産管理に直結するため、注意が必要です。
3. 仮払金・仮受金の整理
仮払金や仮受金は、正確な金額や勘定科目が不明な場合に一時的に使用される科目です。これらの情報が確定した場合は、速やかに正しい金額や勘定科目を入力し、帳簿を更新します。
4. 経過勘定の計算
当月に支払いや入金が予定されているが、まだ実施されていない場合は、未払費用や未収収益として経過勘定に計上します。これは、企業の財務状況を正確に反映するための重要なステップです。
5. 各種費用の計上
年間を通じて発生する費用を12等分し、毎月の費用として計上します。例えば、固定資産の購入費を法定耐用年数で割って計上する減価償却費があります。他にも、賞与、退職給付費用、固定資産税、各種保険料など、多岐にわたる費用があるため、漏れなく計上することが求められます。
6. 月次試算表の作成
1ヶ月間の取引や計上する費用が明らかになった際、年次決算書の基礎となる月次試算表を作成します。試算表には、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の3種類があります。それぞれの違いや書き方を理解しておくことが重要です。
7. 月次業績報告
最後に、作成した月次試算表を基に、年間計画や前年度同月との差分を把握し、現状の経営状況を報告します。この報告は、経営陣が今後の判断を行うための重要な資料となるため、正確さと迅速さが求められます。
これらのステップを踏むことで、月次決算はスムーズかつ正確に進行し、企業の健全な経営を支える基盤となります。
月次決算のチェックリストをご紹介

続いて、月次決算をスムーズに進めるためのチェックリストをご紹介します。
カテゴリー | 詳細 |
---|---|
現金預金残高の確認 |
・金庫内の現金を数え、通帳記帳などで銀行の預金残高と照らし合わせて、 月末時点の残高を確認します。 ・月末の残高が帳簿上の現金預金の勘定残高と一致しているかどうかを確認します。 ・残高が一致しない場合は、その原因を調査し、修正仕訳を作成して通帳残高と一致させます。 |
月次棚卸し |
・月末時点での商品の在庫数を確認します。 ・社外で保管している在庫の有無とその数を確認します。 ・業務で使用するパソコン、テレビ、文房具などの備品の数を確認します。 ・棚卸の後、帳簿の残高と一致しているかを確認し、記録します。 ・期間中の入出庫が適切に行われていることを確認し、会計証憑として保管します。 |
仮払金・仮受金の整理 | ・仮払金と仮受金の内容を確認し、適切な勘定科目に振り替えます。 |
経過勘定の計算 | ・前払費用、未収収益、前受収益、未払費用のそれぞれについて、正しく費用と収益を計上します。 |
各種費用の計上 | ・年間の減価償却費を12等分し、月ごとに計上します。 ・引当金も同様に12等分し、月ごとに計上します。 |
まず、現金と預金の残高確認から始めましょう。これは、金庫内の現金を実際に数え、銀行の通帳記帳などを通じて預金残高を確認することから始まります。月末時点の残高が帳簿上の現金預金の勘定残高と一致しているかどうかを確認することが重要です。もし残高が一致しない場合は、その原因を徹底的に調査し、必要に応じて修正仕訳を作成して通帳残高と一致させることが求められます。
次に、月次の棚卸しについてです。月末時点での商品の在庫数を確認することはもちろん、社外で保管している在庫の有無とその数も確認する必要があります。さらに、業務で使用するパソコン、テレビ、文房具などの備品の数も確認します。棚卸しの後には、帳簿の残高と一致しているかを確認し、正確に記録することが不可欠です。また、期間中の入出庫が適切に行われていることを確認し、会計証憑として保管することも重要です。
仮払金・仮受金の整理も月次決算の一環として欠かせません。仮払金と仮受金の内容を確認し、適切な勘定科目に振り替えることで、財務諸表の正確性を保ちます。
経過勘定の計算も忘れてはなりません。前払費用、未収収益、前受け収益、未払費用のそれぞれについて、正しく費用と収益を計上することで、期間損益を正確に把握することができます。
最後に、各種費用の計上についてです。年間の減価償却費を12等分し、月ごとに計上することで、費用の平準化を図ります。引当金も同様に12等分し、月ごとに計上することで、将来の費用に備えます。
月次決算を効率化する方法

上記の通り、月次決算は企業経営において重要な役割を果たしますが、そのプロセスは多くの時間と労力を必要とします。最後に、効率化を図るためのポイントを解説します。
●各部門との連携を強化して締め日を厳守する
まず、各部門との連携を強化し、締め日を厳守することが重要です。各部門からのデータ提供が遅れると、経理部門の作業が滞り、全体のスケジュールに影響を及ぼします。部門間のコミュニケーションを円滑にし、データ提供のタイムラインを明確にすることで、効率的な月次決算が可能になります。
●可能な業務から進めていく
次に、可能な業務から進めていくことが重要です。月次決算の全ての業務を一度に行うのは困難です。そこで、まずはデータ収集や整理といった準備段階から着手し、計画的に進めていくことが求められます。これにより、業務の負担を分散し、効率的に作業を進めることができます。
●販売管理システムで一連の管理を統一
販売管理システムを活用して一連の管理を統一することも効果的です。販売管理システムを導入することで、売上データや在庫情報をリアルタイムで把握でき、経理部門だけでなく、全社的なデータ管理が可能になります。これにより、データの転記ミスや数字のコピーエラーを防ぎ、正確なデータ管理が実現します。
まとめ
この記事では、月次決算について詳しくご紹介しました。
月次決算を効率化する方法やツールはさまざまですが、まずは自社の月次決算や経理業務での課題を明確にしましょう。その課題に沿って対策や販売管理システムを活用していくことで、スムーズで正確な月次決算の実現が期待できます。
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