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管理会計とは?目的やメリット、財務会計との違いをご紹介

企業が経営を行う上で指針となるのが管理会計です。では、管理会計とは主にどんなことをするのでしょうか。管理会計と財務会計は何が違うのでしょうか。管理会計の基礎や財務会計との違い、そして管理会計を導入するメリットついてご紹介してまいります。



目次
1.管理会計とは
2.管理会計の目的
3.管理会計の種類
4.財務会計の基礎と管理会計との違い
5.管理会計の方法
6.管理会計の指標
7.管理会計を導入するメリット
8.管理会計と原価計算
9.広告業の管理会計
10.まとめ

1.管理会計とは

管理会計とは

管理会計とは、経営者が経営を管理するうえで役立つ情報を提供するための会計です。管理会計は社内の経営者や経営に関わる人のために必要な情報を提供します。社内のみで使用するので企業ごとに必要な情報も異なるため、決まったフォーマットや管理期間などのルールはありません。

2.管理会計の目的

管理会計の目的

管理会計の目的は、企業の経営管理者が経営管理に役立てることです。

管理会計の目的として、具体的な意思決定をサポートし、将来の戦略立案に重要なデータを導き出すが挙げられます。これには、コスト管理、予算計画、財務分析などが含まれ、企業の持続可能な成長と効率性の向上を目指します。

管理会計は単純な売上だけではなく、数字で表せるものはすべてが対象となるので、部門別・商品別などセグメントで分けたデータを管理します。このデータを基に好不調を明確にし、好調な部門や商品には力を入れて反対に不調箇所は原因追及を行うなど、経営戦略を立てることができるのです。

3.管理会計の種類

管理会計の種類

管理会計は目的に合わせて「業績評価のための管理会計」「事業評価のための管理会計」の2種類があります。

業績管理会計としての管理会計は、企業全体や個々の部門の業績を評価し、業績向上策を策定するための重要なツールです。一方、事業評価のための管理会計は、事業単位での収益性やコスト構造を分析し、戦略的な意思決定を支援します。

事業評価のための管理会計は、事業の収益性などの評価を目的とした会計で、評価をもとに経営資源を配分させ、企業の意思決定や戦略立案に役立てるためのものです。

上記の2つの管理会計を目的に応じて区別し、経営管理に活用すると良いでしょう。

4.財務会計の基礎と管理会計との違い

管理会計の他に財務会計があります。この章では財務会計の基礎と管理会計と財務会計の違いについてご紹介します。

管理会計と財務会計の違いは、その主な利用者と目的にあります。管理会計は主に内部の経営者や管理者が使用し、経営の意思決定、計画、評価に利用されます。一方で、財務会計は外部の利害関係者向けに企業の財務状態や業績を報告する目的で使用されます。

■財務会計とは
財務会計とは
財務会計とは、社外に対し報告を行う企業会計です。株主や銀行などの利害関係者に対し、企業の財政状況や経営成績を開示します。利害関係者は他社と比較し投資する企業を決めるため、開示する財務会計は会計基準に則った書類を使用します。
この会計基準に則った書類とは決算報告書です。決算報告書は金融商品取引法では「財務諸表」といわれ、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書が含まれます。

財務会計の役割
企業は企業単独で存在しているのではなく、利害関係者との支えによって成り立っています。財務会計の開示により、株主は自分が投資した資金が適切に運用されているのか、銀行や仕入先など債権者は返済を受けられるのか、確認ができます。財務会計は適正な資金運用ができているのかを表す企業の成績表なのです。

■管理会計と財務会計の違い
これまでご紹介した管理会計と財務会計の違いを見てみましょう。

管理会計 財務会計
利用者 社内
経営者や経営に関わる人
社外
株主や銀行など利害関係者
目的 未来に向けた経営判断の材料 企業財政や会計期間の成績の開示
書式 任意の書式
企業ごと必要な情報は変わる
財務諸表
・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書
対象期間 任意の書式
例:半年、1年
会計期間
例:期首~期末の1年、半期、四半期

管理会計は経営に関わる情報を扱うため、企業ごと必要な情報が異なります。書式や期間は任意でルールはありません。反対に、財務会計は社外の利害関係者への情報開示となるためルールが明確で財務諸表を使用します。

管理会計はこれまでの実績から予算の管理も行うため、未来の情報を会計として管理します。財務諸表は1年や半年などの期間の実績を扱い、財政状況を明らかにします。
つまり管理会計は未来の情報、財務会計は過去の情報を扱います。

この違いは、経営戦略を立てる上での管理会計の必要性と重要性を示しています。管理会計情報は将来の業績向上のための具体的な行動計画を立てるのに役立ち、経営者がより効果的な意思決定を行うための基盤となります。

5.管理会計の方法

管理会計には、企業の経営状況を把握し、より良い意思決定を行うためのさまざまな方法があります。以下に、「予実管理」「原価管理」「経営分析」「資金繰り管理」という4つの管理会計の種類を解説いたします。

■予実管理
予実管理は、経営計画の策定からその計画に基づいた予算の作成、そして実際の業務実績との比較・分析までをカバーする重要なプロセスです。企業が設定した目標に対して、実際にどの程度達成できているかを定期的にチェックし、必要に応じて計画の見直しや修正を行います。

このプロセスは、経営の効率化や目標達成率の向上に直結し、企業の持続的な成長に不可欠です。特に、自社の経営資源を最適に配分するためには、予算の作成とそれに基づいた実績管理が極めて重要となります。

予実管理によって、予期せぬ経費の増加を早期に発見し、適切な対応を行ったり、将来の経営計画に反映させたりすることが可能になります。また、電子帳簿保存法などの法律に対応するための正確な記録管理にも寄与します。

■原価管理
原価管理は、製品やサービスを提供する過程で発生するコストを適切に把握し、コントロールすることに焦点を当てた管理会計の一環です。

このプロセスでは、直接材料費、直接労働費、製造間接費など、製品の生産に直接関わるすべての費用を詳細に分析します。原価管理の目的は、製品のコスト構造を明らかにし、無駄なコストを削減することにあります。これにより、企業は価格競争力を高め、利益率を改善することができます。

また、原価管理は、さまざまなビジネス環境での柔軟な価格設定戦略を可能にし、市場の変動に迅速に対応する能力を企業にもたらします。さらに、原価データの正確な把握と分析は、法律遵守や税務対策の面でも企業にとって大きなメリットをもたらします。

■経営分析
経営分析は、企業の財務状況や業績を評価するために、財務諸表やその他関連データを利用して行われます。この分析を通じて、経営者は自社の経済的健全性、市場における競争力、投資の効果などを把握することができます。

経営分析は、収益性、流動性、債務返済能力、運用効率などの観点から企業の財務データを深堀りし、強みと弱みを明らかにします。これにより、将来の経営戦略や投資計画の策定に役立つ洞察を提供します。

また、経営分析は、外部の投資家や金融機関に対して企業の財務健全性をアピールするための根拠ともなります。効率的な経営分析を行うには、最新のIT技術やデータ分析ツールを活用し、膨大な量のデータから意味ある情報を抽出し、それを経営判断に活かす必要があります。

経営分析を通じて明らかになった課題に対しては、具体的な改善策を立案し、実行に移すことが重要です。

■資金繰り管理
資金繰り管理は、企業が日々の運営活動をスムーズに行うために必要な資金の流れを管理し、計画的に運用することを指します。資金の入金予定と出金予定を正確に把握し、短期的な資金不足が生じないようにすることが目的です。

効果的な資金繰り管理には、予測精度の高いキャッシュフロー計画の作成、適切な資金調達手段の選定、余剰資金の有効活用が含まれます。

また、急な資金需要に対応できるように、一定の流動性を確保しておくことも重要です。資金繰り管理は、企業の安定した成長を支える基盤となり、経営者がより戦略的な意思決定を行うための重要な情報を提供します。

さらに、資金繰りの透明性を高めることで、投資家や金融機関からの信頼を獲得し、将来の資金調達機会を広げることにも繋がります。



6.管理会計の指標

管理会計の指標

管理会計を行う際、どのような指標を追っていけばよいでしょうか。
ここでは管理会計の役割とそれに基づく代表的な指標を3つご紹介します。

●限界利益率
限界利益は、売上高から変動費を引いた数値のことで、限界利益率とは売上高に対する限界利益の比率のことを指します。限界利益率は業界やビジネスモデルによって大きく変わりますが、限界利益率を指標として追っていくことで、売上の変動が把握できます。限界利益率は業績管理会計において重要な指標です。

●損益分岐点
損益分岐点とは、売上高と費用が等しくなり、営業利益がゼロになる売上高を指します。会社の売上が損益分岐点を上回れば利益となり、下回れば損失となります。
事業ごとに損益分岐点を把握することで経営状況を正確に把握することに繋がります。これは業績評価会計の一環であり、管理会計の種類の中でも特に重要です。

●労働分配率
労働分配率とは、付加価値に占める人件費の割合を示したものです。
労働分配率(%)は人件費/付加価値×100で求めることができ、給与や賞与などの人件費が増えれば労働分配率は上がり、企業が新たに生み出す付加価値が増えれば労働分配率は下がります。

労働分配率は高すぎても低すぎても良いわけではなく、一般的には平均値をデータとして使うことが多いです。中小企業庁が公表している「企業規模別、労働分配率の推移」では大企業であれば約50%、中小企業であれば70~80%が平均値となっております。

この指標は、会計の役割の中でも特に重要で、管理会計 具体例として頻繁に取り上げられます。

7.管理会計を導入するメリット

中小企業の中では管理会計の義務付けがないため、管理会計を行わない企業もありますが、健康的な経営活動を行うためにも管理会計の必要性は重要だと考えます。この章では、管理会計の目的や管理会計のメリットについてご紹介してまいります。

■管理会計のメリット
・経営状態の可視化
・早めに適切な施策を打てる
・現場の社員も経営視点を養える

経営状態の可視化
管理会計は経営者が経営を管理するために役立つ情報を提供するための会計です。そのため管理会計のメリットは、経営状態が可視化できる点といえるでしょう。経営状態を可視化することにより人材に投資するのか、新たな事業を立てるのかなど経営戦略を練ることができます。

早めに適切な施策を打てる
管理会計の目的にも記載した通り、業績の良い部門や商品・業績の悪い部門や商品といったデータが可視化されます。予算を設定していれば予算との比較、または前年実績の比較を行うことで、経営が順調なのか修正が必要なのか判断ができ、最適なタイミングで行動に移すことができます。

現場の社員も経営視点を養える
データを可視化し共有すること現場で実際に働く社員も予算達成への意識を持つことができます。予算だけではなくコスト管理にも意識が向き、利益を得る施策を考える手助けにもなります。
このように管理会計は経営者だけの経営判断材料ではなく、社員の経営感覚を養うという側面もあるのです。

8.管理会計と原価計算

管理会計と原価計算

管理会計の計算方法の一つとして原価計算があります。
原価計算によって、理想の原価と実際の原価を比較することで、コストの削減や業務の効率化への意識が強まり、より高い生産性を求めるようになります。

管理会計とは、内部の意思決定をサポートするための会計情報を提供することです。原価計算はその一例であり、管理会計における原価の把握は、効果的な業績管理会計に不可欠です。また、財務会計と管理会計の違いについても理解することが重要で、財務会計が外部報告のための会計情報を提供するのに対し、管理会計は内部管理のための情報を提供します。

会計管理においても、原価計算は重要になりますので、改めて原価計算について確認しておくと良いでしょう。



9.広告業の管理会計

管理会計は数値化できるデータがすべて対象です。広告業界で扱う数字のデータは部門や商品の他に、媒体社・掲載場所・媒体の種類のデータも対象となります。
予算管理やクライアント別の売上推移、見込管理も含まれるでしょう。
弊社がご案内しております販売管理システムADMANでは、上記のような情報を管理することができ、管理会計や経営戦略に役立てることができます。

広告業における管理会計は、部門やプロジェクトごとに業績を評価し、経営上の意思決定をサポートする業績管理会計としての役割が重要です。

弊社がご案内しております販売管理システムADMANでは、上記のような情報を管理することができ、管理会計や経営戦略に役立てることができます。

10.まとめ

管理会計の基礎やメリット、財務会計の違いについてご紹介しました。管理会計を行うことで、未来に向けた経営の意思決定が行えるようになります。しかし、Excel管理では集計の手間がかかるため、システムを導入することが望ましいです。
システムを活用することで、入力をしたデータを基に管理会計に繋がる情報を容易に引き出すことができるため、経営判断のスピードも上がるでしょう。

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